火山についてのQ&A集

Question #5805
Q 自分は富士山が噴火したら世界中が重大な問題を抱えると聞いてとても心配しています。
それは「スーパープリューム」という現象で世界中の火山が連鎖的または、一斉に噴火する
というシミュレーションをみていたからです。それに本でみたら富士山が噴火したら、
それは世界中の火山噴火の起爆スイッチが入った事になる。という記事も載っていたからです。
もし富士山が噴火したら、このシミュレーション通りのようになるのか詳しいご回答をお願い致します。
また、自分がなぜ富士山の噴火に興味を持っているかというと、映画「スーパーボルケーノ」を
見たからです。 < ...中略... > 
もし、富士山でこの映画と同じ規模の噴火が起きたとしたら、東京はどうなってしまうのですか?自分はとても心配です。詳しいご回答をお願い致します。 (05/05/05)

専門学校に通うりんごです:その他:18

A あまり心配なさる必要はないと思います.イエローストーンはカルデラ火山であり,富士山はカルデラ火山ではありません.富士山が「スーパーボルケーノ」に描かれたような噴火を近い将来に起こすことは,まずありえません.そのことは富士山の長い噴火の歴史が物語っています.
富士山は,図体が大きいので噴火も大きいだろうと単純に思われがちですが,これまで富士山が起こしてきた噴火の圧倒的多数は小規模で穏やかなものです.1707年に富士山で過去最大規模の噴火が起きましたが,その時ですら噴火現象による直接の死者は知られていません.また,「富士山が噴火したら,それは世界中の火山噴火の起爆スイッチが入った事になる」などということは,学問的に全く根拠のないことです.
スーパープリュームによる火山活動の全地球的な活発化は,人間の一生よりもずっと長い時間をかけて起きる現象であり,現在そのような現象が進行している証拠はありません.唯一多少気にかけるべきは,カルデラ火山の巨大噴火が,日本でもいつかはまた起きるであろうことです.
日本のカルデラ火山の多くは北海道と九州にあります.小説「死都日本」(石黒耀著,講談社)は,近未来の九州でカルデラ火山の巨大噴火が起きた場合に,日本という国がどのような運命をたどるかを精密にシミュレートした小説です.一度読んでみてください.ただし,そのような噴火は,日本全体でみても1万年に1度くらいしか起きていない,とても頻度の低いものです.
(05/18/2005)

小山真人(静岡大学・教育学部・総合科学教室)
Question #5804
Q 学校での調べ物で青木ヶ原についてなんですがその一つの、「溶岩にはえる植物」についてよくわからないので、教えてください! (05/03/05)

☆:中学生:12

A インターネットの検索ページ(例えば,google)で「溶岩 植物 青木ヶ原」と調べてみましょう.きっと探している答えがありますよ.
(05/03/05)

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Question #5802
Q 火山帯がどこにあるのか知りたいのですが、どこを探しても見つかりません・・・。
もしよかったら地図などで、場所を知りたいのですが・・・。 (05/01/05)

けろたん:中学生:13

A 北海道から東北から中部地方を経て伊豆諸島へ抜ける火山の並びを「東日本火山帯」,山陰地方の大山から九州を通過し南九州へ連なる火山の並びを「西日本火山帯」とよんでいます.かつて,千島,那須,鳥海,乗鞍,富士,大山(白山),霧島火山帯などという名称も用いられたことがありましたが,現在は使用しません.

 ホームページでは以下があります.
(1) 高校の地学の副読本(猫三さん地学教室)

http://georoom.hp.infoseek.co.jp/3litho/11volcano.htm#日本の火山

(2) 静岡県パビリオンのページ(ただし,そこに書いてある日本の活火山86個は,現在では108個です).

http://www.pref.shizuoka.jp/7000m/museum/008.html

(05/01/05)

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Question #5801
Q よろしくお願いいたします。
カムチャッカ半島、Karymsky volcanoとAcademy Nauk calderaからの噴出物を比較し、Karymsky火山のマグマ溜りにはバサルトの再供給がなされ、それが噴火のきっかけともなったという論文を読みました。
その噴火のきっかけとは、新たなマグマが侵入してきたことによって、@元から存在したマグマが追い出されたということと、A新たなマグマ侵入による熱によって圧力が高まった、という2つのイメージで考えればよろしいでしょうか

勘違いなどありましたら、すみません。
お手数ですがよろしくお願いいたします。 (04/30/05)

石好さん:高校生/大学生:22

A 恐らくセミナーなどで雑誌Journal of Petrologyに昨年発表された論文を読まれたのではないかと思います.この論文には明確には何が噴火の直接のトリガーになったかは書いていないようです.ご指摘のように,下から熱い別のマグマが注入して噴火が引き起こされるには,ところてん式に押し出された可能性と,注入したマグマよってもともとあったマグマが加熱されて発泡し膨張した可能性があるかもしれません.しかし,噴火の推移をよく見ると後者の可能性は低いように見えます.カリムスキーの南17キロで深さ10キロのM6.6地震が起きた数時間後にカリムスキーが安山岩マグマの噴火し,その後12時間後に地震のあったと考えられる断層沿いのアカデミーナウクでも玄武岩マグマが噴火を始めています.カリムスキーで噴火したマグマには直ぐにアカデミーナウクのマグマが混ざった影響がでてきて,その後しだに元の状態にもどったとしています.つまり,玄武岩マグマが地震の直後に断層に沿って貫入し,そのままカリムスキーの下の安山岩マグマ溜まりにぶつかって,カリムスキーの噴火が開始し,その後アカデミーナウクまで玄武岩マグマが到達したと読めます.注入して来たマグマが数時間以内に元々あった巨大なマグマ溜まりに熱的影響をおよぼすのはかなり無理があるので,玄武岩マグマの注入による体積増加で噴火が起こったと考えるのが無難なように見えます.が,これもひとつの解釈です.後は参考文献等を参考に自分で考えて下さい.(04/30/05)

中田節也(東大・地震研・火山センター)
Question #5509
Q 先日、日光の湯元温泉に行ってきました。
そこの温泉に入ると、一度目に入ったとき、銀の指輪が金色に変色しました。
その数時間後、二度目に入った時には、黒味がかった青色に変色しました。
これはどのような化学変化が起きたのでしょうか?指輪はもう元通りですが、
不思議に思ったのでお尋ねします。(できれば化学式なしで)ご解説いただけ
たらと思います。よろしくお願いします。 (06/15/04)

yukatabijin:その他:28

A これはおそらく銀が温泉の成分である硫化水素と反応して銀の表面に薄い硫化銀の皮膜ができたことによる現象だと思われます.一度目に金色になったのは皮 膜が薄く,光が反射するさいに比較的波長の長い光の成分が干渉現象で強調されたのではないでしょうか?光を通す薄い膜は光の干渉を起こして色がついてみ えることがあります.たとえばシャボン玉は透明のせっけん水からできますが,虹色に着色してみえます.干渉ではなく皮膜自体が色をもっていて金色に見え た可能性もあります.2回目に黒っぽくなったのは硫化銀の皮膜の厚さが増して硫化銀本来の色が見えたためと思われます.
 (6/16/04)

大場 武(東京工業大学・火山流体研究センター)


Question #5506
Q 小生、趣味と健康をかねて里山歩きをよくし、最近は奈良県宇陀郡にこっています。歩く前にはカシミールで地図をよく見るのですが、室生寺のあるあたりはすっぽりと丸く陥没しているように見えるのに気づきました。このような地形はなぜできるのでしょうか。まさか隕石でもぶつかって出来たものではないかと思うのですが。よろしくお願いします。 (06/11/04)

青木敏之:社会人:68

A
 おっしゃるように確かに室生寺のある室生村室生の辺りの地形は一見丸い凹地になっています.しかし,隕石がぶつかってできたものではありません.結論 から言えば,あの地形は川の浸食に伴う地すべりや崖の崩壊によってできた地形と考えられています.
 凹地を取り囲んでいる急な崖は凝灰岩,つまり火山灰が固まったものによってできています.この辺りの凝灰岩は,地質学的には「室生火山岩類」と呼ば れ,火砕流が堆積したものです.火砕流と言えば10年ほど前に長崎・雲仙普賢岳の噴火に伴って多発していた火砕流が有名ですが,室生付近に分布する凝灰 岩を作った火砕流は,雲仙普賢岳で起こったものとは比べものにならないほど大規模なものだったと考えられ,同じ火砕流による堆積物は室生にも近い赤目四 十八滝や香落渓,曽爾高原あたりから奈良市春日山,大阪府柏原市の玉手山付近まで分布しています.奈良県曽爾村にある天然記念物「屏風岩」や「鎧岩」・ 「兜岩」もこの火砕流堆積物でできています.そのような大規模な火山活動は,今から約1400万年前に起こったものです.
 さて,このような成因をもつ凝灰岩はしばしば「溶結」という現象を起こします.溶結とは火山から噴出して堆積した直後に,火山灰に含まれる天然のガラ スが高熱によって日なたに置き忘れた飴のようにくっつき合う現象で,それが冷えると緻密な堅い岩石ができあがります.一方で,それと同時に冷えていくと きに体積が縮むために「節理」と呼ばれる割れ目が凝灰岩の中に地面に垂直に多数入ります.このような地域を川が流れて浸食が進むと,浸食されては崖が崩 れるということが繰り返し起こり峡谷が発達します.
 室生寺周辺の凹地形は,たまたま川が蛇行(曲流)していたためにその蛇行に沿って浸食が進み,それと同時に凝灰岩が崩壊を起こしたためにできた「地す べり崩壊性の凹地形」であろうと考えられています.そう思って地形図で室生川を見るとあちらこちらで蛇行をしていますし,川沿いには傾斜の急な崖が多く 見られます.大雨などが降ると崩壊が起こりやすいので,どうぞ気をつけて下さい.

参考文献:西岡芳晴・尾崎正紀・山元孝広・川辺孝幸(1998) 名張地域の地質.地域地質研究報告(5万分の1地質図幅),地質調査所,72p.
 (6/18/04)

和田穣隆(奈良教育大学・地学教室)


Question #5500
Q 海嶺について
北大西洋海嶺は側面から見て激しいジグザグが見られるが、太平洋海膨は名前があらわすように ふわっとしている。
この違いはどこから来ているのか?
私は 大西洋か異例は ウェゲナーの言う大陸移動説による考えの通り元は大陸だったため マグマが噴出したときは 急激に冷やされて枕状溶岩というか 激しい亀裂があつが 太平洋のほうは海水の中の地下深くゆっくり冷えて固まったので 亀裂のような激しい野が見られないのだと思うが。
プレートテクにクスの説明で葉どのように違いを言えばいいのだろうか?
よろしくお願いいたします。
大陸移動説にまで 結びつけるのは 無理があるかな? (06/01/04)

ムーミンママ:社会人:50

A
 「太平洋海膨は...ふわっとしている」という表現は実に女性的で的確ですね.大西洋中央海嶺と東太平洋海膨では,プレートの拡大速度が2倍くらい違 う(太平洋が速い)ので,海嶺下のマントル内でのマグマ発生量も太平洋の方が相当大きいと考えられています.
 大西洋では,プレートの拡大は主に正断層で引きちぎられるようにして行われているのに対し,太平洋では多量のマグマが噴出・固結して新しい海洋地殻が どんどん形成され,海嶺の両側へ移動しているようです.従って大西洋の海嶺軸付近では,マントルかんらん岩が多くの場所で海底に露出している(つまり, そこには地殻がない)のに対し,太平洋ではそういう場所は非常に少ないことがわかっています.このように,2つの海嶺の地形の差は,プレート拡大速度, 拡大様式,マグマ供給量の差(この3つは互いに密接に関連)によるものという解釈が一般的だと思います.
 (06/02/04)

石渡 明(金沢大学・理学部・地球学科) 


Question #5481
Q いつも御丁寧にありがとうごいざいます。一年前に♯3943にて富士山が巨大で、島弧火山でありながら大量の玄武岩を噴出する理由についてフィリピン海プレートがユーラシア、大平洋の両プレートから引っ張られて富士山の直下で裂けているため大量の玄武岩が発生しやすい状態にある事を御教授いただきました。数年前の低周波騒動以降、富士山に関してより正確で分かりやすい本が多数出版され改めて興味を持つようになりました。♯3943の質問と関連する事項でいくつか疑問がわきましたのでよろしくお願いします。

@玄武岩を大量に放出する「新富士」になってから1万年足らず、小御岳からみても数十万年ですがフィリピン海プレートの食い込みはそのずっと以前からありましたよね。太古の昔から富士山のあった位置には巨大な玄武岩火山が作られては崩壊し・・と言う事が繰りかえされてたと考えられるのでしょうか。

A宝永噴火の初期に流紋岩が噴出したのはマントル由来の玄武岩のマグマ溜まりに何らかの理由で大陸地核の花崗岩が混成したのでは、と考えておりますがこの考え方は正しいでしょうか。

よろしくお願い申し上げます。 (05/04/04)

アマンタジン:社会人:29

A ご質問にお答えします. (1)いろいろと意見はありますが,現在のフィリピン海プレートの沈み込みが開始したのは700万年前頃と考えられています.そして,700万年前頃に は丹沢山地を構成している古伊豆小笠原島弧地殻が本州弧と衝突したとされています.富士火山の直下には,この丹沢山地の延長部が伏在していると考えられ ますが,その後50万年前ころまでは,この地域に火山活動が存在した証拠はありません.現在の富士火山直下の状態(テクトニクス場といいいますが)が確 立されたのは,伊豆半島が丹沢山地を構成する地殻ブロックに衝突した70万年前以降と考えてよいので,富士火山地域の火山活動はそれ以来初めての出来事 だったと思われます.現在みられる富士火山のマグマ供給システムが開始されたのは10万年前以降ですが,小御岳火山などの50万年前以降の火山活動はそ の先駆的活動であり,現在の富士火山マグマ供給システムが確立されるまでに数10万年の時間を要したと考えればよいのではないでしょうか. (2)宝永噴出物の玄武岩も流紋岩(デイサイト)も同位体組成からみるとほとんど変わりません.したがって古い時代の大陸地殻が混成したということは考 えにくいのです.デイサイトの起源としては玄武岩マグマの結晶分化作用か,富士火山を構成する玄武岩あるいは同位体組成が玄武岩と同じ火成岩が融解して できたかのどちらかであると考えられます.
 (05/17/04)

高橋正樹(日本大学・文理学部・地球システム科学科)


Question #5480
Q 富士山の五合目付近に行くと、目の前で火山噴出物が見ることができますが、よく見ると溶岩の石の色が赤色のものが多くあります。玄武岩は黒色、安山岩は白色といわれていますが、赤い石はいったいどうやってできた石なのでしょうか。教えてください。 (05/02/04)

管 祐一:社会人:43

A 「火山岩の色」についてはこのQ&Aの左側にある「トピック項目表示」をクリックして調べてみて下さい。これまでに多くの回答がありますので大変参考に なります。例えばNo. 4135。赤色は溶岩の中の鉄が酸化したときの色です。錆(さび)の色と同じです。ただし、安山岩は白色というのは間違いで、どちらかといえば灰色で す。色は必ずしも岩石の種類を表しませんので注意して下さい。安山岩でも流紋岩でも黒っぽい色を示すこともありますし、玄武岩でもしばしば灰色のことも あります。
 (05/02/04)

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Question #5477
Q 学校の理科の授業でマグマが地表で急に冷やされて出来るのは火成岩の中の火山岩だとならいました。その後火成岩とは違うものとして、堆積岩を習ったのですが、その中に
火山灰や火山噴出物が堆積して出来た凝灰岩というのを習いました。
火山岩と凝灰岩の違いが良くわかりません。富士山のような成層火山では溶岩と火山灰が層状に積み重なっているとも習いました。これは凝灰岩なのでしょうか? (04/24/04)

ちゅー学生:中学生:14

A 火山岩はマグマの活動(火山活動)によって地表付近でできた岩石のことで,溶岩流や溶岩が破砕されて細かくなったものの集合体などを含みます.凝灰岩と いうのは主に火山灰の堆積したものが固まったものをさします.火山灰は噴火の時に空から降り積もる場合と,火砕流(かさいりゅう)といって、火山ガスや 軽石などと一緒に斜面を高速で流れてきて堆積する場合があります.凝灰岩は堆積岩ですが,火山活動に由来し地表付近でできたためにれっきとした火山岩で もあります.火山性堆積物と言います. 富士山は溶岩流と火山灰などが積み重なってできたもので,一部は凝灰岩です.
 (05/03/04)

中田節也(東京大学・地震研究所・火山センター)


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