公開講座「地球のいとなみと災害
        −火山学・地震学は何ができるか−」

日本火山学会会長 / 宇井忠英


  「災害は忘れた頃にやってくる.」物理学者寺田寅彦のエッセイに出てくる警句を,阪神地区にお住まいの皆さんは先年の阪神淡路大震災で改めて認識されたことと思います.震災の後に地震防災に関連した講演会は多数実施されてきたと伺っております.こうした機会を通じて皆さんは防災に関してそれなりの知識を得られたことでしょう.しかし,忘れた頃やってくる災害は地震だけではありません.火山災害もその一つです.

 阪神地区には活火山はありませんから,火山災害など自分達には関係ないと思われるかもしれません.確かに阪神地区に災害をもたらしたような巨大噴火は,忘れた頃どころか石器時代まで遡らないと見つかりません.しかしそれがわが国のほぼ全域に影響を及ぼすような噴火だったと知ったら,そして将来どこかで同様の噴火が必ず起こると知ったら,火山災害は自分に関係ないとは言えないでしょう.また,交通手段が発達した現代では,皆さんは旅行で,あるいは転勤で国内を広く移動しますから,そこで噴火に遭遇する可能性があります.そういう訳で,皆さんには一見関係ないと思われがちな日本における火山防災や噴火予知の現状そして将来の展望を知っておくと,いずれ皆さんの役にたつことがあるかも知れないのです.

 日本火山学会の公開講座は今年で6回目になります.この度神戸大学で日本火山学会の1999年秋季大会を開催する機会を得ましたので,公開講座も神戸市で開かせて頂くことにしました.本日は地震や火山がご専門の3名の研究者に話題提供を御願いしました.先に述べた巨大噴火の話題,防災・噴火予知の話題のほかに,やはり当地では地震も欠かせないと考えて,地震はどんな自然現象で私たちはどう対処したらよいのかといった話題も加えました.この公開講座を通じて地震や火山噴火についての関心を深め,防災に役立てて頂ければ幸いです.




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1999年9月,日本火山学会: kazan@eri.u- tokyo.ac.jp