火山学者に聞いてみよう -トピック編-  

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「Q&A火山噴火」 に寄せられた意見集


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Jan. 2012.

The Volcanological Society
of Japan.

kazan-gakkai@kazan.or.jp

身近の火山:東北地方

一の目潟・二の目潟


Question #36
Q この前、指宿方面に行って、数多くある火山地形を観察してきました。そこには、山川港や鰻池など”マール”と呼ばれるものがたくさんありました。この、”マール”はどういう仕組みになっているのですか?また、ほかの火山地形にも必ず多く見られるのですか? (8/28/97)

まつ:高校生:16

A
 マグマが地下水と急激に反応すると,水蒸気マグマ爆発と呼ばれる,激しい 爆発が起こります.マグマと水の接触の割合によって,その爆発力は連続的に 変化しますが,その中でも激しい爆発が起こったときに作られる火山地形がマ ールです.爆発力が強いために大きな火口が作られますが,噴出物は広い範囲 にまき散らされるので火口の周りにはごくわずかの堆積物しか残しません.地 下から上昇してきたマグマと地下水が接触して爆発が起こるので,その爆発は 地下水面(地下水の上面)よりも下で起こります(つまり火口の底は地下水面 より低い).そのため,噴火が終わると火口は速やかに地下水で満たされま す.
 マールの形成には,マグマと水の接触の割合が関係していますから,どこの 火山でも見られるという火山地形ではありません.指宿地域は日本でマールが 多く見られる地域として有名ですが,この他に秋田県男鹿半島の一の目潟や二 の目潟,伊豆大島の波浮港などが代表的なマールの例としてよく知られていま す.地下水の豊富な海岸付近に比較的多いようです. (9/1/97)

井村隆介(鹿児島大・理)