火山学者に聞いてみよう -トピック編-  

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「Q&A火山噴火」 に寄せられた意見集


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Jan. 2012.

The Volcanological Society
of Japan.

kazan-gakkai@kazan.or.jp

身近の火山:北関東・甲信越地方

木曽御岳


Question #45
Q 1979年の木曽御岳の噴火について、詳しい情報を知りたいと思います。 特に噴火活動の期間、火山灰の噴出状況、火山灰の影響を受けた地域などにつきまして 教えていただけませんでしょうか? また、この噴火について詳しくまとめてある資料などありましたら 教えていただきたいと思います。

(9/23/97)

ほやほや:学生:22

A
 御岳山は1979年10月28日早朝,山頂部地獄谷谷頭部にできた,全体として NW-SE方向にならぶ,長さ約500mほどの雁行状の割れ目から噴火を始めまし た.噴火は静かに始まったため明確な噴火開始時刻ははっきりしませんが,午 後2時ごろに最盛期をむかえ,カリフラワー状の噴煙を約500-600mの高さにま で噴き上げました.噴煙活動の中心は割れ目の北西端近くの地獄谷底の小火口 で,火山灰などの固形放出物はほとんどこの火口から放出されました.地獄谷 底の小火口の活動最盛期ごろには他の火口での活動が衰えはじめ,28日夕方に は地獄谷底の小火口からの噴煙も衰えだし,翌29日早朝にはほぼ噴火活動は終 了しました.この噴火による火山灰は御岳山から北東方向に分布し,約140km 離れた群馬県前橋市でも降灰が確認されています.火山灰は主に変質鉱物から なり,新しいマグマ由来のものは含まれないため,この噴火は水蒸気爆発であ ったと考えられています.
 御岳山には噴火記録がなかったため,この噴火は突然の噴火として驚かれま した.地質調査の結果,ここ約6000年間の間に少なくとも5回の同じような水 蒸気爆発が起きていることがわかっています.

参考文献 山田直利・小林武彦(1988) 御嶽山地域の地質,地域地質研究報告(5万分の一地質図幅),
     地質調査所. (9/26/97)

川辺禎久(工業技術院・地質調査所)