火山学者に聞いてみよう -トピック編-  

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「Q&A火山噴火」 に寄せられた意見集


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Jan. 2012.

The Volcanological Society
of Japan.

kazan-gakkai@kazan.or.jp

身近の火山:近畿地方

六甲山


Question #290
Q 私は神戸市の御影に住んでいます。御影といえば全国的に御影石が有名ですが、その御影石は一体いつどのようにして出来たものなのでしょうか。また、花崗岩のことを全て御影石と呼ぶのでしょうか。それと、御影石が六甲山で採掘されるとすれば、六甲山の火山活動によるものだと思うのですが、現在、六甲山は活火山ではないので、六甲山の最期の活動はいつ頃で、どういった痕跡が残っているのかを教えてください。 (10/9/99)

小池:大学生:19

A <御影石は一体いつどのようにして出来たものか>

御影の裏山にあたる六甲山は、すべて御影石(黒雲母花崗岩)からできています。こ の御影石は、約7千万年前(白亜紀といって恐竜が全盛だった時代です)に、珪酸(S iO2)成分に富む流紋岩質マグマが地下でゆっくりと固まったもので、一般には深成 岩とよばれるものです。御影石は、石英、斜長石、カリ長石、黒雲母といった鉱物か らできています。

<花崗岩のことを全て御影石と呼ぶのか>

花崗岩のことをすべて御影石というわけではありません。それぞれの産地の名前でよ ばれることが普通です。岡山県では万成(まんなり)石とか、茨城県では稲田(いな だ)石とかいった具合です。ただし、その中でも御影石は最も全国的に有名で、花崗 岩の代名詞のように使われています。

<六甲山の最期の活動はいつ頃で、どういった痕跡が残っているのか>

御指摘のように、六甲山の御影石は火山活動に関係した地下のマグマ溜りがゆっくり と固まったものです。この御影石に関係ある火山岩は、六甲山の北の有馬温泉から西 の丹生山にかけて分布しています。これらは、御影石の貫入を受けており、花崗岩マ グマの貫入に先行して生じた火山活動の産物です。これらの火山岩は流紋岩質溶岩と 火砕流堆積物からなっています。活動の時代は御影石と同じ約7千万年前です。白亜 紀という、地表を恐竜が濶歩していた大変に古い時代の出来事です。

最後に宣伝ですが、もし花崗岩に興味がおありでしたら次の本を読んでみて下さい。 大きな書店でご注文頂ければ手に入ると思います。

「花崗岩が語る地球の進化」 自然史の窓シリーズ第7巻 岩波書店 1999年7月発刊
 1900円 (高橋正樹著)) (10/12/99)

高橋正樹(茨城大学・理学部・地球生命環境科学科)


Question #2478
Q 先日、立山カルデラの質問をしたものです。体験学習会の日は快晴で非常に有意義でした。ところで私は関西に住んでいて六甲山によくいくのですが。六甲花崗岩は浸食を受けると岩石に含まれる鉄が酸化して溶け出して茶色っぽくなるように思うのですが。立山の花崗岩は緑っぽい色に変色しているような気がします。これはどうしてなのでしょうか…。 (08/12/02)

青葉マーク1号:教員:40

A
 体験学習会は天候に恵まれ,有意義だったそうで,よかったですね.立山カルデラ 内に露出する花崗岩は,地質図によるとジュラ紀の船津花崗岩類で,一部は変成作用 や変形作用(マイロナイト化)を受けています.緑っぽい色はおそらく緑簾石(りょ くれんせき:鉄・カルシウム・アルミニウムに富む珪酸塩)の色で,変成作用を受け た花崗岩中に散在していたり,石英と一緒に幅数cm程度の緑色の脈として花崗岩を 貫いたりしています.飛騨山地一帯に広く分布する船津花崗岩類には,緑簾石がごく 普通に含まれており,露頭で黄緑〜緑色を呈するものも多いです.
 六甲山の花崗岩は白亜紀末期のもので,船津花崗岩類より1億年程度新しい時代の ものです.そのためか変成作用はほとんど受けておらず,緑簾石もあまり見られませ んが,仰るように「深層風化」が進んでいて,地表付近のものはほとんど真砂(マ サ)化しています.これが原因で,兵庫県南部地震の時は六甲山の山腹に多数の斜面 崩壊が生じました.私は昨晩ある会合に招待され,六甲山の山頂でバイキングを食べ てきましたが,あの曲がりくねった道路や急斜面に立つレストランの下に深層風化し た花崗岩があると思うと,ちょっと心配でした.その時ご一緒した神戸大学の先生 は,「学生を六甲山に連れて行っても,新鮮な花崗岩を見せることができないので残 念だ」と仰っていました.
 (08/12/02)

石渡 明(金沢大学・理学部・地球学科) --