火山についてのQ&A |
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Question #97 | |
Q |
私は盛岡市に住んでいるので、岩手山の活動を注目しています。6月28日の火山性地震の震源が山の東側に変化したそうです。また、これまで数分程度だった火山性微動も10分以上続いたそうです。これらの変化をどうとらえたらいいのでしょうか。岩手山の東側は民家もあり、ちょっと心配です。
(6/29/98) |
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A |
岩手山の活動については,日本中の火山研究者も注目しています.
ご質問にお答えすると,この東側の地震は,そのまま地表の噴火地点を示すこ とはないように思います.理由は,比較的深いところで起きているからです. このような地震は,火山の深いところの構造を主に反映していると考えられて います.浅い地震が噴火地点を示す例は,北海道の有珠山など他の火山では報 告されています.しかし,これについても必ずしも一般的ではなく,どこの火 山でもそうだという訳ではありませんので,注意が必要です. 微動については,そもそも発生メカニズムがよくわかっていないのが現状で す.ですから,その継続時間が何を意味するのかは,今のところ不明としか言 えません.ただ,一般的には,継続時間が長くなったり振幅が大きくなったり するのは,火山活動の活発化を示すものだとは認識されています. いずれにしましても,最近の地震や微動の起こり方が,火山活動の活発化を示 していることは確かです.現在,気象庁や東北大学で地震観測網をつくり,こ うした起こり方に注目しています.観測データは他のデータとともに十分に検 討され,大事なことは情報として気象庁から公表されます.今後はこれらの情 報に注意していていただきたいと思います. (6/30/98) 西村裕一(北海道大学・理学部・有珠火山観測所)
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