火山についてのQ&A |
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Question #742 | |
Q |
先日は質問に答えていただきありがとうございました。 さて,今回は6月26日から始まった三宅島の活動についておしえてください。 今回7月8日の雄山での噴火はあまり火山灰が出ていないのに, 大きく山の頂上が陥没していました。 カルデラが出来る時,中のマグマやガスがたくさん出て, 空洞ができて陥没するというのは知っていますが, 今回の雄山では,あまり噴出物が多くないのに,大きく陥没したのはなぜですか? また,三宅島の火山活動は海に移動したと発表されていましたが, 今回雄山で噴火活動が見られたのはなぜですか? (07/09/00) ash:主婦:30 |
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A |
7月8日の夕方に起こった三宅島山頂部の陥没事件は、陥没した量に比べて、火山灰 などの噴出物の量が非常に少ないので、陥没前に地下に空洞ができたために地表部分 が落っこちたと考えられています。また、噴出物には今回の一連の活動を引き起こし たと考えられるマグマ物質(新鮮な溶岩の破片)は含まれていません。空洞ができた 理由は完全にはまだ分かっていませんが、地上には出なかったマグマが島の西側に移 動したためや、地下に引き戻されたためであろうと考えられています。伊豆大島の 1986年の噴火の1年後に、三原山の火口が大きく陥没したことがあります。これは一 旦火口を満たした溶岩が地下に戻ったため空洞ができたためと解釈されています。 それでも、今回の事件では陥没量をマグマの引き戻しだけでは完全には説明できな いので、あらかじめ空洞か空隙の多い部分が山頂の地下にあったのかもしれないと考 えられています。 (7/11/00) 中田節也(東京大学・地震研究所・火山センター) |