火山についてのQ&A |
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Question #63 | |
Q |
大陸地殻を形成している岩石が花崗岩と言う事を授業で習いました。また、花崗岩は玄武岩質マグマの結晶分化作用で作られる事も習いました。しかし、この2つの事と同時に、大陸地殻に存在する大量の花崗岩全てが玄武岩マグマの結晶分化作用で作られたのではないと言う事も習いました。それでは、一体どのようなプロセスを経て、大陸地殻を形成している花崗岩は作られたのでしょうか?授業では、明確な説明がなされなかったのでよろしくお願いします。ただ、花崗岩化作用なる物が存在すると言う事だけ先生から聞き出せました。
(12/21/97) |
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A |
学校では大陸地殻は上部を占める花崗岩層と下部を占める玄武岩層からでき ていると習いますが,大陸地殻がどのようにして形成されたかは,まだはっき りとは解明されていません.また,花崗岩層の平均組成は「花崗岩」というよ りは安山岩(あるいは閃緑岩)に近いものです. 大陸地殻の大半を占める安定地塊は始生代などの古い時代に形成されたもの です.始生代の地球の温度構造は現在とは大きく異なっており,地下増温率も 現在よりは高かったと考えられています.そこでは海洋プレートの沈み込むに よって,直接,安山岩質のマグマができる可能性や,沈み込む海洋プレート (玄武岩)自身が融解して,安山岩やデイサイト(安山岩と流紋岩の中間的な もの)マグマができる可能性などが指摘されています. 花崗岩化作用は,大陸地殻が侵食されてたまった堆積岩などが,融解しない で直接花崗岩になるというモデルです.大陸地殻形成にはマグマが関与してい るはずですから,花崗岩化作用は地殻形成には直接は関係がないでしょう. (12/21/97) 中田節也(東大・火山センター)
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