火山についてのQ&A

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「Q&A火山噴火」

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Question #625
Q 箱根の駒ヶ岳は「溶岩円頂丘」となってますが山頂に火口があって地形図を見るとオタマジャクシ型の溶岩流を沢山流しています。円頂丘と言うと普賢岳の平成新山のように火口に栓をしてしまうものと思われますが実際には山頂に火口を持ちそこから溶岩を流している例も少なくないように思われます(日光白根の山頂溶岩や九重山など)。単純にこれについて考えるて考えるとまず粘性の強い溶岩が大量に吹き出してドームをつくりその後溶岩の粘性が低下してドームの屋根を破って溶岩流となった、と言うことが考えられるとおもいますが実際この様なことが起きているのでしょうか。

 また久住の三保山は溶岩円頂丘でありながら二重式の構造に見えます。これはどうやって出来ているのでしょうか (05/22/00)

アマンタジン:医師:25

A
 溶岩円頂丘(溶岩ドーム)と呼ばれている火山がじつは何個かの溶岩ドームがつみ 重なっているものだったり、山頂部だけが溶岩ドームで下の部分は違うタイプの火山 体だったりすることがあります。箱根火山の駒ヶ岳は3〜2万年前頃に厚い溶岩流や 溶岩ドームをつくる噴火を数回くり返して形成されたと考えられています。山頂部分 のみが溶岩ドームで、最後の噴火の時に火口を塞いで成長したものです。
 アマンタジンさんが駒ヶ岳で火口と思われたのは山頂部の細長い浅いくぼみのこと だと思いますが、火口にしては形は不明瞭で、ここから噴出物が出た証拠もありませ ん。溶岩の流れによる溶岩じわか、活動の終わりにマグマの一部が地下へ逆流したた めに溶岩ドームの表面が落ち込んでできたくぼみと考えられます。久住の三保山の場 合では一度マグマが逆流してくぼみを作り、再びマグマが上昇してきて中央の溶岩ド ームを作ったと考えられています。
 もちろん御指摘のように一度の活動の途中で溶岩の粘性が変化する可能性は十分あ ります。もともと粘性が違うマグマが上がってくる場合だけでなく、地上に噴出する ときのガス成分の抜け方や冷却のしかたなども影響します。また土台となる地形にも 左右され、粘性が同じでも斜面では重力の効果で流れやすくなります。 (6/03/00)

長井雅史(東京大学・地震研究所)


May 2012. The Volcanological Society of Japan.  kazan-gakkai@kazan.or.jp