火山についてのQ&A |
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Question #5812 | |
Q |
現在,火山(特に火砕流・火砕サージ)について勉強しています.メラピ型火砕流についてはいくつかの論文を読んで,雲仙の例で理解してきました.しかし,スフリエール型,噴煙柱崩壊型の発生機構についてがよくわかりません.ガス圧と粘性の関係が主たる成因なのか,温度もかかわってくるのかを教えてください.
(05/17/05)
N大M研:高校生/大学生:20 |
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A |
小規模火砕流は通常,メラピ型,プレー型,スフリエール型の3種に区分されます.前2者は溶岩ドーム噴出に伴って発生するもので,スフリエール型はいわゆる爆発的噴火(火口から火砕物が放出される)が生じた際形成される噴煙柱が周囲の大気よりも密度が大きく周囲に崩壊して発生するものです.カルデラを形成する大規模火砕流も同様に噴煙柱崩壊で発生しますが,スフリエール型と言われるのは比較的小規模なものについて使うのが適当と思われます.元々はカリブ海小アンチル諸島南部のセントビンセント島(St.Vincent)のスフリエール(硫黄)火山の1902年の活動記録に基づいて名づけられました.近年活発に活動しているやはり小アンチル列島北部のモンツエラート島のスフリエール・ヒルズ火山では1997年末にこのタイプの噴火がおこりました.その典型的な映像はモンツエラート火山観測所のホームページの [History] の項の中,[A Chronology of the current eruption] の22番1997年10月1日の活動をクリックすると連続写真で見ることができます(ビデオも購入可能).その頃の活動の記録を計算機実験で再現した図(次の論文)も掲載されています.A. B. Clarke, B. Voight, A. Neri, G. Macedonio (2002) Transient dynamics of vulcanian explosions and column collapse. Nature, 415, 897-901.スフリエール型については,和文解説としては,宇井忠英編著「火山噴火と災害」東大出版会1997年,P.32-36.が良くまとまっていると思います.噴煙柱の解説は,やや専門的になりますが,下鶴大輔・他編「火山の事典」朝倉書店の第四章「火山の噴火現象」が詳しいです. (05/20/05) 佐藤博明(神戸大学・理学部・地球惑星科学教室) |