火山についてのQ&A |
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Question #54 | |
Q |
高校の授業で、マグマの分類の一つの方法として二酸化珪素の濃度による分類を学びました。それによると、玄武岩質マグマ(二酸化珪素45−52%)・安山岩質マグマ(52−66%)・流紋岩質マグマ(66%以上)となっていたのですが、他の一般向けの火山の書籍を読んでいた所、同じ方法に基づくと思われる分類で石英安山岩質マグマというのが出てきました。このマグマと前述の3種類のマグマの関係について説明して下さい。よろしくお願いします。
(11/13/97) |
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A |
中学・高校ではご質問のような火山岩およびマグマの分類が教えられていると
思います.また,それらに対応する,斑れい岩,閃緑岩,花崗岩という深成岩
の岩石名も覚えておられると思います(忘れていたら,逆順に「かこ」んで
「せん」こう,「はん」ごろし.と覚えましょう).おっしゃるように,二酸
化珪素の濃度によるマグマの分類は研究者の中でもよく用いられていますが,
中学・高校で教えられるよりももっと細分されています.その細分された分類
の上では,”石英安山岩”は現在ではデイサイトと呼ばれています.雲仙普賢
岳で1991年に出現した溶岩ドームもこの石でした.デイサイトの二酸化珪素濃
度は,細分された分類上での安山岩と流紋岩の中間の量です.日本のものでは
63−72%程度です.ただし,アルカリ元素の量(Na2OとK2Oの総
和)が約7%程度より多い岩石は粗面岩または粗面デイサイトと呼ばれていま
す.なお,デイサイトの岩石名はルーマニアのDaciaの地名にちなんでいます
.日本で石英安山岩と呼ばれたのはデイサイトの日本語訳として明治時代に地
質調査所で使われたのが最初です.しかし,この岩石名は石英の”斑晶”を含
む安山岩(実際のデイサイトは含まないことが多い)という意味と誤解される
ため,現在では使われません.
新版地学事典(平凡社,1996年刊行)の別冊31ページに上記の関係を示
した図があります.
(11/19/97)
三宅康幸(信州大学・理)
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