火山についてのQ&A |
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Question #3878 | |
Q |
花こう岩が貫入して接している泥岩などは接触変成岩になることを習いました。そのとき貫入岩体としての花こう岩の中心付近はゆっくり冷えるので、花こう岩になるとは思いますが、泥岩と接している貫入岩体の部分は、急冷されるので流紋岩になるのでしょうか?それとも、花こう岩は底盤として存在するので、その場所の地温が高くて接しているところは急冷されず、ゆっくり冷やされて花こう岩になるのでしょうか。
(02/21/03)
うみぞう:高校生:17 |
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A |
これは花崗岩体のサイズにもよりますが,接触変成帯があまり発達しない小さな岩 体の場合でも噴出岩(火山岩)の典型的な「流紋岩」と全く同じような岩石にはなり ません.流紋岩は一般に石英や長石の「斑晶」がガラス質または微晶質の「石基」に 埋まっている組織をしていますが,花崗岩体の周縁相は石基の結晶がかなり成長して いたり,全体が細粒結晶の集合体になっていたりすることが多く,「流紋」(流れの 模様)も見られません.接触変成帯が発達する大きな花崗岩体の場合は,周縁の境界 近くまで粗粒な花崗岩のことが多いですが,周縁部では「アプライト」や「グラノフ ァイアー(文象斑岩)」といった白色細粒な岩石の岩脈が粗粒な花崗岩や周囲の母岩 の中に貫入していることがよくあります.特に花崗岩体が石灰岩に貫入した部分では こうした岩脈が多く,境界部付近には珪灰石,灰鉄輝石,ベスブ石などの鉱物や銅・ 亜鉛・鉄などの鉱石が形成されていることがあります(「スカルン鉱床」).日本国 内は至るところに花崗岩体があるので,是非近くの露頭に行って,実際に花崗岩体の 周縁部がどうなっているのか,ご自分で観察されることをお勧めします.関東なら丹 沢山地や甲府盆地周辺,関西なら京都東山や六甲山周辺に見所がたくさんあります. (02/22/03) 石渡 明(金沢大学・理学部・地球学科) -- |