火山についてのQ&A |
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Question #3842 | |
Q |
はじめまして、私は会社で地盤調査、地質調査を担当している者ですが、火山地形の中に、火山斜面、溶岩流地形、火山山麓扇状地と3つありますが具体的にどんな地形なのかを教えて下さい。
(02/09/03)
AC:会社員:23 |
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A |
はじめまして。
土木・建設業界では,学術的に定義されていない用語をその場の雰囲気で安易に使 う傾向があり,ACさんも同じギョーカイの方なので,ひょっとしてギョーカイ内に出 回っている報告書や文章をそのままお読みになって質問しているのでは?!とちょっと 危惧します。 「火山斜面」という言葉をいろいろ探してみましたが,明確に定義しているものはは く,「火山斜面」という用語を用いている文献は見渡す限り「国土地理院発行,火山 土地条件図」だけみたいです。さらに,同じ火山土地条件図でも「火山斜面」という 用語を用いているものとそうでないものがありました(他にあったら教えてくださ い) 。 火山土地条件図で「火山斜面」という用語を用いているものでは「1/50,000火山土 地条件図 十勝岳」があります。この「火山土地条件図 十勝岳」では,溶岩流や火 砕流など,地形の成因が明らかなものに対して「溶岩流地形」,「火砕流地形」な ど, 地形の成因がわかるように名称を与え,それ以外の成因ははっきりしないが, 明らかに火山活動によって形成されたと判断できる開析段階の火山体斜面を「火山斜 面」として取り扱っているようです。 ですから,「溶岩流地形」は,溶岩流が流下することによってできた地形のこと で, 溶岩じわ,溶岩堤防,溶岩側端崖,溶岩末端崖などの微地形が,航空写真判読 や現地 調査で明瞭にわかるものを指しています。 火山山麓扇状地は,火山体の浸食により供給された物質が火山のすそ野に扇状に堆 積してできた地形のことを指します。ちなみにギョーカイでは,火山の谷出口付近に 存在する扇状の平滑面で平均勾配1〜14°程度の地形のことを指していることが多い ように見受けられます。 せっかくの機会ですので,ギョーカイ用語ではなく正しい火山用語を勉強されては いかがでしょうか?以下の本が大変わかりやすく,私も時々使っています。
伊藤英之 (砂防・地すべり技術センター総合防災部) |