火山についてのQ&A |
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Question #342 | |
Q |
》なぜ、伊豆半島には、温泉が多いのですか? 》なぜ、狭い地域に2種類の温泉が沸くところがあるのですか?(熱海だったら、塩化物泉戸と、硫酸塩泉とか…。温泉のでき方に違いがあるのですか?) 》なぜ、静岡県には、酸性泉、放射能泉が無いのですか? (12/03/99) Kndo:学生:15 |
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A |
伊豆半島の下では太平洋プレートがフィリピン海プレートの下に潜り込んでいます。
このため伊豆諸島や伊豆半島には火山が多数存在します。火山の近くでは地下水がマ
グマの熱で温められて温泉が形成されます。これが伊豆半島温泉が多い原因です。
狭い地域に異なった水質の温泉が出来る原因は地下で蒸気と熱水が共存しているため
と考えられます。温泉が存在する地域の地下では圧力釜のような部分があり,蒸気と
高温の水が共存しています。このとき水の部分には塩化物が溶けやすいのですが蒸気
には塩化物は含まれません。一方,硫化水素というガスは蒸気の方に多く含まれます
。硫化水素は地下を移動する間に酸化されて硫酸になり地下水に溶けて硫酸塩泉を形
成します。高温の水の部分も地下水に混ざり塩化物泉を形成します。このために狭い
地域に異なった泉質の温泉が存在すると考えられます。
静岡県に酸性泉や放射能泉が存在しないかとても少ないのは私には簡単には答えられ
ない質問です。火山の種類によって随伴する温泉の泉質には明確な違いが見られます
。すなわち伊豆半島には酸性泉や放射能泉を随伴するタイプの火山がないか少ないと
言えますがこれでは完全な答えにはなっていないでしょう。理論的には答えられない
のですが,経験的には玄武岩質の溶岩を出す火山には酸性泉や放射能泉はすくないよ
うです。安山岩質〜流紋岩質の溶岩を出す火山は酸性泉や放射能泉を伴うものがいく
つか存在するようです。伊豆半島や伊豆諸島の場合は玄武岩質の溶岩を出す火山が多
く存在します。
(12/6/99)
大場 武(東京工業大学・草津白根火山観測所) |