火山についてのQ&A |
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Question #2925 | |
Q |
私たちは、りかの授業で、火山の大地のつくりと変化について、勉強しています。 そこで、有珠山の、噴火による大地の変化を調べています。 たとえばどんな変化があったか教えてください。 (10/15/02) 浦河町立浦河小学校6年生:小学生:12才 |
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A |
浦河小学校6年生の皆さん、こんにちは。
有珠山の噴火による大地の変化ですね。有珠山は実に様々に大地を変化させてきまし
た。
まず1万数千年前から有珠山は噴火を開始し、地下からマグマを出しました。そのマ
グマが固まった溶岩などが積み重なって、小型の富士山のような山を作りました。こ
のようにマグマを出して、それが火口のまわりに積み重なって山を作るというのも
「火山による大地の作り方」のひとつです。そして数千年前に有珠山の山の南側が大
きく崩れてしまいました。これにより有珠山の一部はなくなってしまいましたが、そ
の崩れたものは南側の山麓に広く溜まっています。今の伊達市善光寺あたりには、元
々有珠山を作っていた山の一部が小山を作っていたり、海岸近くの島になっていま
す。これも大地の変化です。
その後も噴火は続き、山の成長もあったようですが、間も無く長い休みの時期に入り
ました。ところが江戸時代の西暦1663年から現在まで続く噴火活動がはじまりまし
た。最初の1663年の噴火ではマグマを軽石として放出して、その軽石は遠く日高地方
まで分布しています。浦河や少し北の方では、崖の上の方に白い火山灰として見える
はずです。この噴火では大量のマグマが出てしまったので、山頂に大きな火口ができ
てしまいました。それから2年前の噴火まで何回も噴火しています。それぞれの噴火
ではやはり軽石を出していますが、それに加えて非常に粘り気のあるマグマが地表に
向かって上昇してきました。そしてあるときにはマグマが地表に顔を出して溶岩ドー
ムを作ります。この一例が昭和新山ですね。また顔を出さなくても、地表近くまで上
がってくることで地面を押し上げて山をつくります。これが明治新山や2年前の噴火
でできた山ですね。このようにマグマが地面を押し上げるときには、広い範囲で地面
が盛り上がったり(隆起)、割れ目や地面の段差(断層)ができたりします。また地
面は上下方向だけではなく、水平方向にも動きます。そのため線路や道路が曲がった
りもします。これらの地面の動きのことを「地殻変動」と呼んでいます。これも「火
山による大地の作り方」で、有珠山の場合はこの「地殻変動」で有名ですが、それ以
外の方法でも「大地を作ってきた」ということも覚えておいて下さい。
中川光弘(北海道大学・大学院理学研究科・地球惑星科学専攻) |