火山についてのQ&A |
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Question #2452 | |
Q |
安達太良山の沼の平について質問です。 深く侵食された火口壁とそれとは対照的な平坦な円形の火口底という特異な形状をしていますが爆裂火口でありながらあの人工物を思わせる円形の火口底はどうやって出来たのでしょうか。溶岩湖ではないですよね。今でも泥の噴出があるようですが火口形成後大量の泥が吹き出してあのような形になったのでしょうか。(ほとんど火口底が侵食を受けてないように見えるのは常に新たな泥に埋められてるからですか)よろしくお願いします。 (07/29/02) アマンタジン:医師:27 |
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A |
非常に火山学的センスのあるご質問ですね.ご指摘の通り,安達太良の沼の平は爆 裂火口とされており,それは事実です.そして,この爆裂火口内では水蒸気爆発やマ グマ水蒸気爆発が繰り返し起こっています.また,火口は重力的に不安定なところで もあり,河川(ここでは硫黄川)による削剥や浸食も進行します.つまり,1つの 「爆裂火口」の中で複数の「火口」ができては浸食されてきた,ということになりま す.円形の火口底をもつ火口はその中で最も新しくできたものと考えられます.これ もやがては硫黄川によって,あるいは次の爆発によって消滅してしまうかも知れませ ん.そして,平坦な泥の広場は,水蒸気爆発の時,火口周辺や爆裂火口壁にたまった 大量の火山灰が水によって流されて低いところ,すなわち活動を停止した火口に再び 堆積してできたものです.水とともに溜まったので非常にきれいな「水平面」を作っ ています.沼の平の「爆裂火口」は,底だけはすぐ抜けるので,その都度新しく張り 替えているけれど,胴(壁)は古いまま使っている鍋みたいなものだと思っていただ けるとお解りいただけるかと思います. (07/29/02) 藤縄明彦(茨城大学・理学部・地球生命環境科学科) |