火山についてのQ&A

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「Q&A火山噴火」

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Question #2451
Q 塾で理科の講師をしています。
理科は専門ではないので、まだ勉強中です。
私自身が疑問に思ったことは、子どもたちも疑問に思う可能性があるので質問します。
「大地の変化」の単元で、「マグマの粘り気が弱いと、火山噴出物の色は黒っぽい。
マグマの粘り気が強いと、火山噴出物の色は白っぽい。」とテキストに書いてありました。
どうしてマグマの粘性によって、火山噴出物の色が決まってくるのですか? (07/26/02)

塾講師:大学生:21

A
 マグマの粘り気と噴出物の色とは直接の因果関係はないので、質問の部分のテキス ト記述は正しくありません。「玄武岩には黒っぽいものが多く、薄く遠方まで流れた 溶岩(溶岩流)として見られることが多い。これに対して、流紋岩には白っぽいもの が多く、厚い溶岩の流れや盛り上がったドーム地形を作っていることが多い」という ことから生まれた誤解でしょう。例えば、厚みのある玄武岩溶岩はその中に細かい結 晶がたくさん含まれるために灰色をしています。黒曜石は流紋岩ですが黒っぽい色で す。この2例を見てもテキストの記述が正しくないことがおわかりいただけると思い ます。
 マグマの粘り気は液体部(メルト)の構造とそれに含まれる「固体や気泡部(結晶 や気泡)の量」に依存しています。メルトは結晶のように網目構造を持っており、そ の網目の変形の強さが「水の量」、「化学組成」、「温度」などによって大きく異な るために、粘り気が差が出てくるのです。水の量が多ければ粘り気は低下し、結晶の ような異物があれば粘り気は増加します。
 一方、噴出物の色は、溶岩の中に残っている気泡の量、結晶の量、ガラスの色など に依存します。これらの量は溶岩の冷え方や流れ方などに大きく依存します。ガラス の色は化学組成に依存します。鉄、マンガンなどがより多く含まれる玄武岩ガラスは 黒っぽくなります。
 テキストのように単純なものではないことがわかりましたか? (*一言メモ・・・「溶岩」とは地上やその付近にあるマグマやその固形物のことで す)
 (07/27/02)

中田節也(東京大学・地震研究所・火山センター) --


May 2012. The Volcanological Society of Japan.  kazan-gakkai@kazan.or.jp