火山についてのQ&A |
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Question #2004 | |
Q |
こんにちは。 この夏、富士山に登ったのですが、須走下山道を降りて行くと、砂走りがおわったあたりに、 富士山の山頂火口のミニチュアみたいな大きなくぼみがありました。 それに対して、いっしょにいった仲間の間で、これは、「側火山の火口だ」 「いや、単なる侵食された穴だ」という意見に分かれました。 これが側火山かどうかはともかく、宝永火口以外に、見てわかりやすい (ついでにできれば見にいきやすい)側火山はありますでしょうか。 よろしくお願いします。 (11/09/01) 富士山クライマー3世:会社員:29 |
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A |
富士山は宝永火口以外にも100以上の側火山があることが知られています。富士山 の側火山の多くはスコリアという黒い火山礫が積み重なった小さな山で、スコリア丘 と呼ばれています。この他に山頂火口や宝永火口のよう大きな穴だけが開いた爆裂火 口と呼ばれる火口もあります。スコリア丘は北西麓では大室山、南東麓では日本ラン ド遊園地の中にあるカンス山が大きなものです。このうちカンス山は火口周辺が自転 車周遊道路になっていて火口一帯の断面を観察することができます。スコリアよりも さらに柔らかい溶岩の破片(スパター)が積もった丘をスパター丘と言いますが、富 士スバルラインの御庭というところにはこれらのスパター丘がいくつも連なっている 様子を観察できます。御庭の駐車場からは山頂側にハイキングコースがあり、これら のスパター丘とその中の火口を見ることができます。側火山の火口からは火山礫やス パターが周辺に積もっていたり溶岩が流れ出しており、火口から吹き出した噴出物が 有るか無いかが火口を見分ける鍵となります。 ご質問の須走口下山道の穴ですが、この穴の断面には溶岩や雪崩で流されてきてた まった砂礫が重なっているものの、この穴から吹き出したと思われる噴出物は穴の周 辺で見つかりません。このため、この穴は浸食によりできた谷と思われます。 さて、富士山の側火山の多くは富士山の北西ー南東方向に分布しますが、この穴の ある富士山の北東斜面にも多数の側火山があることが最近判ってきました。しかし、 これらの側火山がいつどのような噴火をしたのか、もっと他の地域にも側火山はない のか、といった点は判っていません。 日本一の富士山は調べれば調べるほど新たな疑問が生まれる不思議な山でもありま す。 (01/11/21) 宮地直道(野菜茶業研究所・葉根菜研究部・土壌肥料研究室) |