火山についてのQ&A

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「Q&A火山噴火」

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Question #1922
Q ・一回の噴火で、どれくらいのマグマや火山灰が出るんですか。(量)
・火山灰にはなぜたくさんの色があるんですか。また何種類ぐらい色があるんですか。
・私達が調べた火山灰は磁石に少しくっつきました。火山灰の中にはくっつくような石が入っているんですか。 (10/17/01)

川俣小学校の子供たち。6年5名:小学生:12

A
 一回の噴火でほうり出される火山灰の量は噴火によってまちまちです.火山灰は, 噴火の時にマグマがちぎれてできた「かけら」や,古い岩がくだかれてできた細かい 「はへん」です.1991年6月にフィリピンのピナツボ山で起こった噴火でほうり出さ れされた火山灰の量は数立方キロメートルにもなります.火山灰は約40kmも上空に舞 い上げられました.火山灰には,空から降った火山灰と,山はだを「かさいりゅう (火砕流)」となって流れたものとがありました.2000年8月に三宅島で起きた噴火 では約千5百万立方メートルの火山灰が一回にほうり出され,火山灰は約15kmもの高 さまで舞い上がりました.世の中には火山灰をほとんど出さずにすむ穏やかな噴火か ら,火山灰をたくさん出す大きな噴火までいろいろあります.9万年もまえに起きた 阿蘇山の噴火のように,大きなカルデラを作る噴火では,一回で数十立方キロメート ルものたくさんの火山灰がほうり出されることがあります.


 かたまったマグマ(つまり溶岩のこと)の色は,もとのマグマの組成や冷えるはや さによって黒くなったり灰色っぽくなったりします.マグマが泡だっている場合に は,もともと灰色っぽい溶岩であれば白っぽくなります.例えば,リュウモンガンと いう溶岩はふつうは白っぽい色ですが,水の中などで急に冷えたものは黒っぽい色を しています.また,火山灰は高温で焼かれるとすぐに赤っぽくなる性質があります. 古い岩であれば火口のそばに長い間あれば焼かれて赤くなったり,イオウなどが付着 して黄色っぽくなっていることもあります.さらに,マグマの中には結晶が入ってい ます.マグマがちぎれてたり岩石がこなごなになって火山灰ができるとき,結晶だけ のつぶができることがあります.このばあいは,結晶の色がつぶの色です.このよう に,いろいろな色の火山灰があるのは,もとのマグマの組成がちがったり,冷え方が ちがったり,結晶の混ざりかたがちがったり,泡の割合がちがったり,いくつもの岩 のはへんが入っていたりするせいです.


 マグマが冷えると「じてっこう(磁鉄鉱)」という磁石の力を持った結晶が産まれ てきます.鉄をたくさん含んだ結晶です.磁石にくっついたのは,恐らく,火山灰の 中にあった磁鉄鉱のつぶでしょう.
 (10/18/01)

中田節也(東京大学・地震研究所・火山センター)


May 2012. The Volcanological Society of Japan.  kazan-gakkai@kazan.or.jp