火山についてのQ&A

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「Q&A火山噴火」

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Question #1826
Q 火山帯について

 以前には、那須火山帯などの言葉で表現されていた火山帯が、現在は使用されていないとのこと、東日本火山帯、西日本火山帯などの言葉で表現されていると聞きました。地図には以前の言葉で記載されています。真偽をお知らせください。また、もし変更になっている場合はなぜ変更になったのか、そして、東日本火山帯、西日本火山帯の概要をお知らせください。

 さらに、活火山、休火山、死火山などの言葉も使用されていないと聞きました。子供たちへの指導に困っていますが、現在使用してよい正確な言葉とその概要をお知らせください。

      (07/28/01)

栃木 やしおつつじ:教員:?

A
 日本列島とその周辺域の火山の分布は基本的には太平洋プレートやフィリピン海プ レートの沈みこみに伴なうマグマの生成に支配されています。前者による火山地帯を 東日本火山帯,後者のそれを西日本火山帯と呼びます。マグマの発生場所は主に沈み 込んだプレートの深さに影響されるため,火山は帯状の地域に分布します。以前は単 に地理的な並び方だけを根拠にして,細かく火山帯を分けていましたが,細分しなけ ればならない学術的な根拠がないので現在は使われなくなっています。一部の社会科 地図上に古い呼び名が残っているのは,自然科学の進展を充分に把握していないため と思われます。


 休火山・死火山という言葉が火山学分野で使われなくなってからもう30年以上経過 していますが,依然としてこの言葉が使われている書物があります。火山噴出物の調 査が進み、科学的な手法で噴火年代が定量的に測定されるようになってくると,現在 何も表面に活動的な現象が見られない火山でも将来噴火が起こる可能性があることが 明らかとなってきました。つまり防災対応の視点で考えたとき,今活発に火山活動を 繰り返しているか,今は活動を休んでいるかの識別は無意味であることがはっきりし たわけです.活火山の定義は国によって違います。日本では過去大よそ2000年以内に 噴火があったことが古文書の記録や噴出物の学術調査で判る火山と,そうでなくとも 活発に噴気活動を行っている火山を活火山としており,その数は86あります. 2000年という限定では活火山を見逃してしまう恐れがあることが判ってきたのでいく つかの国では過去1万年以内の噴火履歴のある火山を活火山とするようになってお り,日本でもまもなく過去1万年という定義に改定される見込です.活火山でない火 山は死火山とはいわずに「その他の火山」と呼ばれます。
 (8/07/01)

宇井忠英(北海道大学・大学院理学研究科・地球惑星科学専攻)


May 2012. The Volcanological Society of Japan.  kazan-gakkai@kazan.or.jp