火山についてのQ&A |
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Question #16 | |
Q |
九州地方にある第四紀の地形・地質はどのようなものがありますか。
(5/6/97) |
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A |
九州地方には、新しい時代(地質学の言葉では第四紀−今から過去にさかのぼ
ること160万年間)の火山が多くありますので、地形・地質も火山に関連した
ものが多くあります。もちろん火山に関係ない地形・地質もありますが、それ
はほかにあたって調べていただくとして、以下のようなことがらが主要なもの
です。北から順に;久重火山群:比高500〜1,000mの溶岩円頂丘(ド−ム)が約
10個、それに溶岩流・成層火山と南北の裾野などからなっている.溶岩円頂
丘群は東から黒岳・中岳(九州本土の最高峰,標高1,791m)・三俣山・久住山・
星生山・黒岩山など.平治岳は玄武岩と輝石安山岩の小成層火山.南の裾野の
久住高原と北の飯田(はんだ)高原は,火砕流と泥流による緩斜面.
阿蘇カルデラ:火砕流台地の中に大規模なカルデラのくぼ地があり、その内側
には中岳などの中央火口丘群がある。27万ー9万年前の阿蘇火砕流の4度の大
規模な噴出によってカルデラが形成された.中央火口丘はほぼ東西に配列する
十数個の成層火山・火砕丘・溶岩流・溶岩ドームなど.
雲仙:長崎県島原半島に位置.半島中央部には普賢岳(1,359m)を含む主にデ
イサイト質の溶岩流・溶岩ドームからなる複数の火山がある.これを取り巻い
て火砕流,土石流堆積物からなる火山麓扇状地が発達.
霧島:鹿児島・宮崎の県境に位置する。北西−南東に長い30km×20kmの地域
に、20以上の小さな火山体や火口がある。約3.5万年前に夷守岳で大規模な山
体崩壊が起こった。その後、約2.5万年前から今日まで続く活動によって韓国
岳・新燃岳・高千穂峰・御鉢などの火山体、白紫池・不動池などの単成溶岩流
および大幡池・御池などのマールが形成され、小林軽石・牛のすね火山灰・御
池軽石・高原スコリアなどのテフラが噴出した。
南九州:鹿児島湾の北端には南北l7km,東西23kmの姶良カルデラがある。カル
デラの大部分は海中に没しているが,陥没地形はきわめて明瞭で,おもな火砕
流(入戸−いと−火砕流)の噴出(約2万5千年前)によってできた。いわゆる
シラス台地が広く分布していてその大部分は入戸火砕流堆積物に相当し,約
30km3のマグマの噴出によって生じた。桜島は姶良カルデラ南部にある複合成
層火山,約2万年前に活動を始めた。まず北岳(1,118m)が成長し,次いで
4000年前には南岳(1,070m)が南北に半ば重なりあって生じた。山麓には多く
の側火山(鍋山:軽石丘,権現山:溶岩ドームなど)がある。
このほか、福江島などの島々、金峰(キンポウ)、由布、鶴見、開聞、それに 薩摩硫黄島や諏訪之瀬島などの島々も火山です。 個々の火山などは平凡社の新版地学事典(1996年刊)のそれぞれの項目お よび付図31日本の火山を参照して下さい。 三宅康幸(信州大学理学部)
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