火山についてのQ&A |
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Question #136 | |
Q |
さっそく教えていただきありがとうございました。そうやって岩石名がついたと知ると親しみが沸きまし
た。もう1つ質問してよろしいでしょうか?
昔、学校で「マグマだまりでは冷却される過程の中、冷えて固まってしまう順に岩石がつくられる」という 結晶分化作用というのを習って痛く感心したのですが、このとき最後のほうまで残っていられたマグマは 比重が小さいということから、浮力で噴火する、というふうに理解していたのですが、新聞などで、噴火 は「マグマに溶けていた二酸化炭素や水蒸気の圧力でおこる」とあり、一旦は納得しました。でも、考えて みれば、高温のマグマに、気体が溶けていられるのですか?すこし疑問が残ってしまいました。教えていた だけないでしょうか? (10/3/98) |
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A |
水に二酸化炭素などの気体が溶けこめるように,マグマの中にはわずかな揮発性の
成分(H2O,CO2など)が含まれています.特に地下深くの高圧の条件では,高温でも
マグマの中に溶けていられるのです.マグマの組成にもよりますが,溶けている量
は全体の重さにしめる割合で,H2Oで1-5%程度,CO2で0.数%程度と考えられています.
さて「浮力で噴火する」「揮発性成分の圧力で噴火する」も,どちらか一方が間 違っているというわけではないのです. マグマが地表に出てくるには,密度が十分に小さいことが必要ですが,揮発性成分が 多く溶け込んでいると,マグマそのものの密度が小さくなります.結晶分化作用で は,分化が進んだマグマほど揮発性成分も多くなりますが,「結晶分化作用が進んだ マグマは密度が小さい」は揮発性成分も含んだ上でのお話です. また揮発性成分が発泡するともっとみかけの密度は小さくなります.密度が小 さくなることは,マグマのみかけ体積の増加→圧力増加を意味しますから,圧力増加 →岩石の破壊→噴火となるわけです. もっとも実際には,どのように発泡するか,発泡した泡がマグマからどのように 分離するかなどで,噴火するかしないか,噴火がどんな様式になるかが変わって きます. 他の要因も絡み合っているので,なかなか難しいのも事実ですが,揮発性成分の量 や発泡の過程はこのように火山の噴火に大いに関係するので,非常に重要です. マグマの中にどんな揮発性成分がどのくらい入っているのかは,高温高圧実験を 行ったり,岩石の中に閉じこめられた発泡していないマグマの残りと考えられる ものを分析したりなど,様々な研究が進行しています. (10/8/98) 川辺禎久(工業技術院・地質調査所・火山地質課)
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